#4 雨のトンネル

 

 

 

Uncle Johny から出た初日。
少しゆっくりして、12時に出発。

 

 

ここでは沢山のハイカーと酒を飲んだ。
みんなハッピーだ。

 

次の補給は3日後。

今日は急登から始まる。

ゆっくりでいいか、、と歩き出すと、同じ宿にいたハイカー達がぞろぞろと後ろから登ってきた。

 

 

みんないろんな思いで、3500kmを歩きに来てるのだろう。

 

 

 

 

今日の降水確率は80%らしい。

絶対に外に出たくない数字。

 

それでも、今日はそこまで天候は崩れそうにない。

雲は一面に広がっているが、雨の気配はない。

 

 

山を一つ一つ越えていくと、自然の少しの変化を感じることができる。

生えてる植物、
うごめく虫達、
少しずつ変化する。

 

 

10mileぐらい歩いて適当なキャンプサイトで寝る事にした。

 

夕方7時、テント場に到着。

 

そこではせっせと焚き火の準備をする2人が。

 

 

見た感じカップルではなさそうだか、やけに仲がいい。

 

テントを張って、少しだけ焚き火にお邪魔して食事をしながお喋り。

 

 

2人の関係も気になるところだが、少し僕が邪魔な気がしたので2人の時間を過ごしてもらうことに。

いそいそとテントへ戻る。

 

 

焚き火を囲む2人の後ろ姿はとてもいいものだった。

 

 

 

 

 

結局、雨も降らず一日が終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日は、目を覚ますとあたりは一面の霧。

 

少し肌寒く、昨日の焚き火が既に恋しい。

 

7時にパッキングを終えトレイルへ戻った。

 

 

相変わらず、霧が一面を覆う。

これだとクマが近くにいても確認できないだろう。

 

トレイルを横断する道路へ出て少し休憩。
霧は晴れたものの、太陽はまだ顔を出さない。

 

すると、一台の車が目の前に止まる。

 

降りてきたのは見慣れた顔だった。
彼の名前はジーザス。
数日前からトレイルで顔を合わせていたので、お互い少し気になり会話が始まる。

 

どうやら彼は僕の事を知っていたらしい。

 

 

以前3日ほど一緒に行動したMoonが、彼に僕の話をしていたみたいだ。

 

こういうのはとても嬉しい。
Moonは今頃どこを歩いているのだろう。

 

 

車を運転して来たのは、彼のおばあちゃんだそうだ。
この近くに住んでるから、休んでいたみたいだ。

 

 

 

 

 

正直、、、羨ましい。

 

 

アメリカに住む人たちはどんな感覚でトレイルを歩いているのだろう。

 

とても気になる。

 

彼は先にトレイルへ戻った。

 

 

次のシェルターで彼と2人だったので、会話を楽しんだ。

彼は5月9日のスタート。僕よりも2日前に歩き始めている。

ATハイカーの中では早く歩いている部類に入る。

一日20〜25mileで歩いていると言っていたので、これからよく会う事になりそう。

 

 

 

 

 

そして、彼のハイキングスタイルは、サンダルに上半身裸。
しかも雨の中。
訳がわからない。

雨に濡れた体を拭いて服を着て寝るらしい。

僕がハイキングで着る服と寝る服を分けてる感覚で、歩いているのだろうか。

 

 

 

「荷物をあまり持ちたくないんだ。」

 

 

 

 

そんな事を言っていたが、そういう話ではない気がする。

 

彼を置いて、先にトレイルへ。

 

 

このあたりから雨がちらつきだす。

こういう時に限って次のシェルターまで距離が遠い。

今日はカメラを一度も出さず歩く事になりそうだ。

 

 

雨の日はただ重たいだけのカメラ。

急登が続く今日の道のり。

 

 

 

今日はどこまで歩けるのだらう。

 

 

 

そんな事を考えながら、携帯で地図を開いた。

テント場から16mile地点。
意外といいペースで歩けている。

 

 

多分雨で休憩が取りづらいからだろう。

 

 

 

 

それなら、今日距離を伸ばして泊まりたい場所がある。

 

そこから12mile地点に大きなシェルターがあるのを、数日前からチェックししていた。

 

どうせ雨なら思いっきり濡れて、夜は屋根の下寝ればいい。
8時までにつけば問題はないだろう。

 

さらに登りは続く。

 

歩き始めて数時間経つと、駐車場が見え始める。

ここから先はJane Baldという景色のいいエリアだそうだ。

 

 

 

もちろん天候は雨。

 

木はほとんど生えておらず、背の低い植物達が僕を見上げている。

 

天気が良ければ最高のハイキングになったであろうエリア。

 

 

 

正直、残念すぎる。

 

 

 

 

 

天候ばかりはどうすることもできない。

 

この時、こんな言葉を思い浮かべた。

 

 

「自然をコントロールしてはいけない。自分が自然の一部になればいい」

 

 

友人がくれたメッセージ。

まさにその通り。

それに、Appalachian Trail はまだ始まったばかり。

これから2900km沢山の景色が待っているはずだ。

今の景色が見えないのにも、何かしら理由があると言い聞かせてひたすら歩き続けた。

 

 

 

 

 

 

ようやくたどり着いたシェルター。

時間は19:30。

かなりのペースで一日を歩き終えれた。

 

 

そこには20人ほどのハイカー達が景色と会話を楽しみながら体を休めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。
6時半起床。

 

電気のないシェルターの中では、みんなヘッドライトをつけて支度を始める。

7時半出発。

 

 

 

あのシェルターには毎日毎日新しいハイカー達が夜を共にするのだろう。
とてもいい場所だった。

 

 

歩き出して間もなく天候は下り坂へ向かう。

 

2日連続の雨の中のハイキング。

 

 

 

 

 

 

たまらん。

 

 

やまない雨はないとは言え、この状況ではそんな言葉なんの助けにもならない。

 

とにかく雨に苦しめられる一日になる。

 

景色も見えず、ひたすら下を向きながら登りと下りを繰り返す。

 

 

 

歩いてきた景色や道なんて何も覚えてない。

 

 

 

 

 

 

 

 

シェルターで雨をしのいでも、体がひたすら冷えるだけだ。

他のハイカーもそれをしってか、さっさと食事をしてトレイルに戻る。

 

とにかく、雨の日は歩くという選択肢しか残されていない。

 

この雨はいつまで続くのだろう。

 

 

 

 

 

なんとか歩ききった24mile。

 

適当なテント場で、小雨のうちにテントを張って今日一日を終える。

 

 

 

 

 

 

 

今日は何もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

ただ雨が降っていたというだけで、こんなにも気持ちが変化してしまう。

 

まだまだ、アパラチアントレイルには受け入れてもらえそうにない。

 

雨すらも気にならなければ、受け入れてもらえるような気がする。

 

食事を終えて寝袋に入って目を閉じても、雨音とテント内の浸水の心配でなかなか寝れなかった。

 

恐らく寝付けたのは0時を回ってからだったはず。

 

 

 

 

 

どうせ明日も雨が降る。

そう思っていた方がまだ気は楽なのだろうか。

明日は晴れるという薄い希望を持って翌日を迎える事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝目を覚ましたのは7時。
雨音はなし。

 

薄い希望が叶ったのだろう。
太陽は出ていないが、雨は降っていない。

テントの中を見渡すと、うっすら浸水エリアが、、、

幸い体が濡れることはなく助かった。

 

 

 

それでも、、、
ドロドロのトレッキングシューズ、
悪臭を放つソックス、
ひたひたのシャツ、ズボン、
それを見るだけでため息が出そうになる。

 

 

 

 

これを身につけて歩くしか選択肢は残されていない。

 

シャツに袖を通す。
汗と雨で濡れたシャツは、すこし酸っぱい匂いがする。

 

濡れた服が肌に触れると、一気に体が冷える。

 

 

 

 

体を温める方法は、体を動かす。
すなわち、歩き出すしかない。

 

 

今日は10mile歩いて、食料補給。
4時間も歩けば道路に出るだろう。

 

 

歩き始めて1時間もたたない頃だろうか、、、

 

乾いた風が頬を撫でる。

 

目線を空に向けると、、、そこには雲の隙間から青空が見えた。

 

 

この雲の上には青空がずっと広がっているのだ。

 

こんな事は言うまでもないのだが、この瞬間はそんな事を本気で考えてしまった。

 

 

 

歩けば歩くほど、絵の具に水をかけたように広がっていく空の青。

 

 

もしかしたら、自分の歩いていたエリアに雨が降っていたのではなくて、トンネルのように、雨のエリアを歩いていただけなのかもしれない。

 

 

 

 

 

2日間に渡る雨のトンネルは終わった。

10mile歩いて道路に出る。

 

 

だが、どう考えてもヒッチハイクに適した道ではない。

車の通りが少なすぎる。

 

 

そして、道路脇にそびえ立つ木の幹に宿の案内が書いてある。

 

0.2mile道路を歩くと宿があるらしい。
Kincora Hoatel。
なんと一泊5ドル。

 

 

これは宿泊費が5ドルというより、宿を継続させるための募金だそうだ。

 

トイレ、シャワー、ベッド、キッチン、冷蔵庫、ランドリー、街までの送迎、

 

全て含んで、あなたはどれだけ募金出来ますか?

と試されているのだ。

 

 

 

 

 

宿の中には、大量の写真が壁から天井までを埋め尽くしている。

 

 

今までにATを歩いたハイカー達が感謝の気持ちを込めて、この宿に達成の報告をしているのだ。

 

オーナーのBobに感謝しなくてはならない。

 

 

 

という事で、ここで一泊させてもらうことにしよう。

 

「さぁ荷物を空いてるベッドに置いてきな。それがこの宿の受付だよ!」

とBobが優しく教えてくれた。

 

 

この宿に泊めてもらうことにしたのにはもう一つ理由がある。

 

 

 

 

 

 

それは、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猫ちゃん。

 

 

猫好きの僕からしたら、たまらない空間。
8匹の猫を飼っているみたいだ。

 

 

 

日本で生活させてもらっている宿の猫が一気に恋しくなった。

あくびに会いたい。

 

 

 

 

 

 

歩き始めて約3週間。

少し宿にお世話になりすぎてる感も否めないが、雨のハイキングに慣れるまでは甘えさせてもらおうと思う。

 

 

無事、食料も補給でき雨の心配もせずに目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

次の補給はDamascus。
ここから50mileの移動。

それで、また新しい州に入る。

Georgia州、
North Carolina州、
Tennessee州、

次はVirginia州。

 

 

 

 

 

 

ベッドで快適に過ごした夜。
翌日も天候は安定し、まさにハイキング日和。

 

 

宿で誰かが残していったパンケーキを焼いて朝食を済ます。

 

 

Bobとお別れしトレイルへ。

 

 

 

にゃんこ達ともお別れ。

 

 

 

昨日全ての荷物を乾かしたのもあって、背中は軽い。

 

 

今日は24mileの予定。

 

宿からまもない頃、川に沿ってトレイルが続く。

 

 

こんな道は冒険心をそそられる。

 

 

宿からのPond Mtを越えるとそこには湖が広がっていた。

 

いい景色ではいい休憩ができる。

ピクニックテーブルに腰掛け、ランチタイム。

 

そんなリラックスムードのランチタイムに参加して着た一匹のハチ。

 

そのお陰で、あまりゆっくり気を抜いて休めなかったりもした。

 

 

 

ここから、Damascusまで40mile。
今日は後15mile。

 

 

湖岸を歩きダムに出る。
ここもまた素晴らしい景色を見せてくれた。

 

天候と景色に感謝。

 

雨雲はどこにも見当たらない。

 

 

それに何故か、今日は他のハイカーにも出会わない。

 

 

 

 

 

4000人を超えるハイカーが歩いているアパラチアントレイル。

 

今日は少し不思議な感覚で歩く一日。

 

 

 

まるで、自分1人がこのトレイルを歩いているかのような気分。

 

 

 

そして、今回のトレイルで初のクマと遭遇。

 

遭遇とは言ったものの、僕の姿を確認するなり急ぎ足で逃げていったので、お尻が少し見えただけだ。

 

 

とても愛らしい。

 

 

PCTでTedに、
「熊を見たらまず写真を撮るんだ!」
と教えられてから、あまりクマに対する恐怖心がなくなった。

 

 

 

油断してはいけないのだが、、、

 

 

 

 

 

 

 

そして、今日の目的地まで残り2mile。

 

1時間もせずに着くだろうと、景色を楽しみながら歩いていると、、、

 

 

太陽の光が急に届かなくなりだす。

 

 

空を見上げると、ドス黒い雲が空を覆い尽くしだす。

 

 

 

つい数時間前には雨雲の影はなかったのに、どこからやってきたのか。

 

 

おまけに雷と横殴りの風が吹き出す。

 

 

これはどう考えても雨が降る。

 

 

トレイル始まって以来の嵐の予感。

 

 

雨が降り出す前に、カメラをしまい、レインウェアを着る。

 

 

そして、歩き始めた数分後。

 

 

予想通りの大雨雷。

空が光る、、、

 

 

1、2、3、4、5、6、7、8、、、

 

8秒後に雷の音が追いかけてくる。

 

そんなに近くはない。

 

 

 

 

シェルターまでは1.7mile。

ここで気になるのが、、、

 

 

 

 

シェルターで寝れるのか?ということ。

 

 

 

 

 

今日はハイカーと出会わなかったとは言え、みんな同じように歩いているはず。

 

 

もし、大雨の中シェルターに着いた時に寝るスペースがなければ、この雨の中テントを張らなくてはならない。

 

 

それだけは勘弁してもらいたい。

 

 

 

 

 

 

5時頃に歩くのをやめればシェルターはまだ空いているのだろうが、

 

僕は7時過ぎまで歩いてしまう。

 

そうなるとシェルターは使えない可能性が高い。

 

 

早い者勝ちだ。

 

 

 

 

 

頼むから今日はシェルターで寝かせてくれ!!

頼む!!

 

 

 

 

 

こんな豪雨の中の1.7mileはやけに遠く果てしなく感じる。

既に22mile歩いてきてるというのに、、、

 

 

そして、40分後シェルターに到着。
既に数人のハイカーは寝袋に入って寝ている。

 

 

場所は空いているのだろうか、、、

 

 

 

 

 

 

何とか一人分のスペースを空けてもらい、テントは張らずに済んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、天候は晴れ。

昨日濡れた服達も風邪になびいて気持ち良さそうだ。

 

完璧に乾いている。

 

このシェルターからDamascusまでは26mile。

 

歩ける距離だが、歩いた所で到着が7時過ぎだろう。

 

街についてもやる事がないので、数mile手前まで歩く予定。

なので、朝はゆっくり準備をした。

 

 

 

 

他のハイカー達は7時にはシェルターを出て、歩き始める。

 

今日街まで行くつもりなのだろう。

 

 

 

 

 

昨日テントを張って寝ていた夫婦のハイカーと少しお喋り。

どうやら、彼らの娘が日本で働いているらしい。

住んでいるのは和歌山の田辺。

なんとローカルトーク。

とても親近感が湧いた。

 

今日もいい一日が始まった!

 

 

 

 

 

 

 

8時に出発。

 

今日の行程は楽になりそうだ。
大きなアップダウンもなく、山の稜線を歩く。

 

山頂の小さな山のコブを一つ一つまたいで行くような感じだろう。

 

天気のいい日は、綺麗な景色がみたい。

そう願って歩き出しふっと目を右へ向けると、、、

 

 

 

 

木の陰から何やら雲のようなものが眼下に見える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雲海だ!

 

 

 

 

木の陰からではなく、もっと広げた場所で見てみたい!

 

 

そう思い足早にトレイルを歩いたのだが、

 

 

 

 

 

 

歩けば歩くほど森の中へ誘われて行く、、、

 

 

残念ながら、雲海は木の陰からしか見る事が出来なかった。

 

 

 

 

それにしても、自然は美しい。

そう思わせてくれた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、また雲行きが怪しくなる。

 

小さな牧草地帯に出ると、雲がうねり気味悪く少しずつ形を変えて流れている。

 

 

一度晴れたからといって、安心は出来ないようだ。

 

 

昼食を食べ、再び歩き出す。

 

 

 

 

 

 

気がつけば15mileを歩いていた。

 

後10mile、

4時間も歩けば街についてしまう。

 

街に行ってしまうのもありかとも思い始めた。

 

 

 

 

 

夕方5時。

Tennessee州からVirginia州へと入った。

4つ目の州Virginia。

 

 

このセクションは少し長い距離を歩く事になる。

 

恐らく前を行く日本人のハイカー3人もこの州のどこかにいるはずだ。

 

 

 

久しぶりに日本語が話したくなった。

 

 

今晩はDamascusの街から2mile手前のキャンプサイトで久々のテント泊となった。

 

 

 

 

明日は2mileで街まで着く。

食料を補給し、エアマットを買うか迷いにショップへ行ってみよう。

 

 

 

 

 

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