もしそれが真実なら

with 2件のコメント

 

 

 

 

2020年10月31日

 

 

5:30

 

 

 

 

 

 

 

 

いつものように太平洋から太陽が顔を出した

人類皆に平等に与えられていると言われる「時間」という概念

太陽が登り沈んでいくという当たり前

 

都会にいるとなかなかそんなことを考える暇もないが

こうしてゆっくりと旅をしていると流れる時間を捉えることができる

 

 

そして時間の受け取り方は

その時の気持ちに左右されることもある

 

例えば

今日がみちのく潮風トレイルで迎える最後の朝のように

 

 

 

 

 

 

 

いつもと同じことの繰り返しなのはわかっているが

どうしても今日の太陽はいつもと違って見えてしまう

 

 

 

少し寂しげで

少し暖かい

 

人の心とは本当に面白いものだ

 

 

 

 

 

白い息を吐きながら

手を温めるようにインスタントコーヒーが入るカップを

両手で包み込みながら最終日の朝日を眺めていた

 

 

ここは太平洋が一望できる

宮城県と福島県の県境に位置する鹿狼山山頂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長い旅を終える時いつも思うことは似ている

 

「ほんとに終わりが来るんだな」

 

数ヶ月に及ぶ旅を経験すると

日常と非日常が逆転してしまうのだ

 

今回の1ヶ月弱の旅でも同じことが起こっていた

 

 

 

 

 

まだ先は長いし

終わりが来るのはもう少しかかるだろう

 

と思っていると

タイムスリップするように目の前に終わりが現れる

 

 

 

別に今日終わらせる必要もないのだが

明日である必要もない

 

たまたま訪れた今日という日を受け入れるのが

一番何も考えなくていい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鹿狼山からゴールの松川浦環境公園までは26km

この時間から歩き出したら

昼過ぎにはつくんだろうな

 

 

 

 

そして今日は東京行きの新幹線に乗って

大都会の真ん中にある知人宅で眠ることになるんだろう

 

 

 

 

 

 

 

ん~~~

 

そうなるのはわかっていても

 

そんな気がしない

 

今日もどこかでテントを張っている気がしてならない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鹿狼山からの下山は

 

たくさんの早朝ハイカーたちとすれ違うことになった

 

 

登山口すぐのところまで車で来れてしまうので

地元の人からするとちょうどいい山なんだろう

 

おまけに今日は土曜日

 

 

 

 

 

 

 

ペットボトル一つ持って歩く人がほとんどで

テントを担いで歩いている人はどこにもいない

 

まぁあたりまえだ

 

 

 

 

 

 

そんな周りと自分の違いが不思議な気分にさせた

まるで彼らと僕は違う世界を生きているような

そんな感覚だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下山してからは

ひたすら街の中を歩く

 

相馬市はそこまで大きな街ではないが

人が暮らす世界だ

 

 

仕事にいく車が道路を走り

通学の小学生たちが横断歩道を渡っている

 

ルート上には

牛丼屋

コンビニ

大型スーパー

パチンコ屋

100均

ファミレス

 

もうなんでもある

 

 

 

 

 

 

この道が

みちのく潮風トレイルのルートだと知る人は

いったい何人いるのだろう

 

道標もどこかに消えてしまっている

 

 

探せなかったのか

そもそも設置されていないのか

 

 

 

 

 

 

 

相馬市の市街地を抜けると

宇多川沿いを歩き海沿いにある松川浦環境公園を目指す

 

 

 

 

 

 

 

気がつけばもう5kmもない

 

 

 

 

 

 

思い返せば

八戸からいろんなことがあったな

 

めばちこで出発が遅れ

蕪島でタケさんと歩き始め

台風の中野営をし

鮭の遡上を見て

手彫りトンネルに興奮し

散歩中のおじさんに栄養ドリンクをもらい

松茸のマジック

スナックでの楽しい夜もあった

途中彼女と温泉旅行にも行った

越来喜のばーばーはうす

のぞみさんやシゲさんとの再会

ようちゃんとみわちゃんも歩きに来てくれた

気仙沼で日本一周で出会った旅仲間とも再会できた

見たことのないサイズの牡蠣をほうばり

牡蠣小屋で寝かせてもらった日もあった

毎日テントの中でポストカードを書き

シゲさんと防波堤を永遠歩き

いい寝床がなく2人して少し困った夜もあった

板谷さんとの再会もあり

大人3人で仙台空港に着陸する飛行機を眺めた時間もあった

 

 

 

 

 

たくさんの出来事と

たくさんの出会いがあって

 

 

僕は今この瞬間ここを歩いている

 

 

 

すべて特別なことではないかもしれないが

 

旅とは本来そんなものかもしれない

 

 

 

 

 

 

ロングトレイルは劇的で奇想天外な物語ではなく

当たり前をゆっくりと味わい

新しいものの見方を知ることではないだろうか

 

 

それが旅をした人が手に入れる宝物だと僕は思う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7回に分けて書き綴ってきたブログも今回が最終話

 

この記事は

ロングトレイルのHow toでもなく

新しい気づきや発見をシェアするものでもない

 

ホタテの話

ニャンコ共和国

 

の話を喜んで書いていることからもうすでに察しているとは思うが

 

 

 

一人の人間がただ歩いて旅をした記録だ

 

 

 

 

これからこの道を歩く人にとって

有益な情報があったとは思えないが

 

それでいいと思う

 

 

 

 

 

 

 

繰り返しになるが

「ロングトレイルとは新しいものの見方を知ること」

 

それがもし真実なら

これから歩く人に全てを語る必要はない気がする

 

 

 

歩きたい人が歩きたいように歩けばいい

 

一本のトレイルの上を歩くとはいえ

 

だれかの物語をたどるような旅にはして欲しくない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ松川浦環境公園の入り口が見えてきた

 

 

では旅を終わらせに行こうと思う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全7話

お付き合いありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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2 Responses

  1. 真鍮の蛇口
    | 返信

    私はあなたの書き方が大好きです。よくできました!

    • da80207
      | 返信

      また何かあれば書いていきますね

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