あっちとこっち

 

 

 

 

ざっ

 

ざっ

 

ざっ

 

 

 

さーーー

 

さーーー

 

さーーー

 

 

 

 

ちょろ

 

ちょろ

 

ちょろ

 

ちょろ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうか僕は山の中にいるんだ

 

 

歩いていることすら忘れてしまっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

現実世界に戻ってきた僕の意識が感じれるものは

 

 

規則正しく地面にを踏み込む足音と

風が木々を優しく揺らす緩やかな音と

どこかで健気に流れる小川の音

 

それぐらいしか聞こえてくる音はない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長い旅をしているとこういった現象がよく現れる

 

 

意識がどこかにいき

 

目の前に広がる景色

肌で感じる感触

耳から聞こえてくる音

 

そんなものは何一つ感じることがなく

 

 

「無」というのが正しいのか

「空」というのが正しいのか

 

 

どちらが正解かはわからないし

どちらが正解でもどうでもいい

 

 

 

 

 

 

 

いったいこの時間がどれだけの時間だったのかはわからない

 

太陽の位置が少し変わっていることからすると

おそらく1・2時間「あっち」の世界にいたのだろう

 

 

 

都会で生きる時にはあまり感じることのなかったこの感覚がとても心地いい

 

まるで違う星に迷い込んでしまったようだ

 

 

 

 

「あっち」の世界には

何もなくて

全てがある

 

 

どう考えても言葉では伝えられない

全ての現象に意味をつけ

言葉を並べ

説明を加えようとすればするほど

 

伝えたいモノからどんどん遠くへ離れていってしまう

 

 

 

例えるとすれば「雲」のようなモノかもしれない

 

明らかに見える雲は刹那刹那で形を変え

あるように見えるが触ることはできない

雲とはなにかを説明できるが

雲を持ってきて見せることも

雲まで連れて行って伝えることもできない

 

 

そんな歯がゆさがこの旅の「あっち」の世界に広がっているのだろう

 

 

 

 

伝える必要もなく

感じるだけでいいのかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩きながらそんなことを考えていると

また「あっち」の世界に入り込んでいきそうになる

 

「あっち」の世界に戻りたい

 

そう思った瞬間に「こっち」の世界に引き戻される

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしあなたがあっちの世界に行きたいと望んでいるなら

 

望むことをやめなければならない

 

 

「あっち」と「こっち」があるということを知り

「あっち」と「こっち」が自分を通り過ぎていく

 

 

ただそれだけだと感じればいい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩くのをやめ

 

適当な岩に荷物を置いて

汗が絞れてしまいそうなひたひたのシャツを脱ぎ

そのシャツをパインツリーに枝に引っ掛ける

 

風で揺れるシャツはまるでクリスマスツリーの飾りのようだ

 

 

そんなに綺麗なモノではないか・・・

 

 

 

 

 

鞄からタバコを取り出し

フィルターを咥え

右手で紙を取り出し

紙の左端に咥えていたフィルターをのせ

空いたスペースにアメリカンスピリットのターコイズの葉をのせ

紙で包み込むように巻き込み

唾液で接着して形を整える

 

左手で口元までタバコを運び

右手でライターの火をつける

 

 

 

 

 

山の中で見るタバコの煙は少し違和感があったが

僕はこの時間がたまらなく心地いい

 

 

 

 

タバコの煙を吸い込み

夏の雲が泳ぐ空に向かって吹き出す

 

 

 

 

 

 

 

雲が太陽の日差しを遮っている

大きな日傘をさしてくれているようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その雲の横に飛行機が一機飛んでいる

 

 

 

 

 

今日見た人工物はこの飛行機ぐらいだ

 

 

 

 

この大自然の中で飛行機がみえるのは

 

とても不自然だ

 

 

「あっち」の世界のことなのか

「こっち」の世界のことなのか

 

 

わからなくなってきた

 

 

 

 

 

あんなちいさなモノの中に何百人も乗り込み

稼いだお金お支払い

いったいどこへ行こうとしているのだろう

 

 

 

 

とはいえ僕も同じようにあれに乗ってこの国にやってきたんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁそろそろ時間だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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