#14 最悪で最高のセクション

 

 

1870mile地点からのスタート。

 

 

New Hampshireも残りわずか。

 

 

一歩一歩しか進めないハイキングも、それを重ねるととてつもない距離になりだす。

 

 

かれこれ3000km。

 

 

 

 

White mountainあたりから、山の様子が変わり、今までのトレイルとは全く別の世界へと誘う。

 

 

 

 

 

急登と急降下を繰り返し一つ一つ山を越える。

 

気温、

植物、

生き物、

見える景色、

日の出と日没の時間、

 

そんな変化が、自分が北へ向かっていることを感じさせてくれる。

 

 

 

数日前に登ったWashingtonは、いつの間にか景色の一部になり、僕の背中を押してくれる。

 

 

 

そして、いよいよメイン州へとやってきた。

 

 

最後の州の境では沢山のハイカーがテントを張っていた。

 

南から歩き始めたハイカーにとってメイン州というのは、

 

まるで夢の世界、

憧れの場所、

 

そんな響きを感じていた。

 

 

ニューハンプシャーとメインをまたぎ、最後の州へと一歩を踏み出した。

 

 

 

 

少し立ち止まり、、、

 

今までの3000kmが一瞬頭を駆け抜けた。

 

 

 

 

これまでATを歩ききったハイカーは、口を揃えてこんな事を言う、

 

「沢山の美しいものに出会える君が羨ましい。」

「また自分も歩いてみたい。」

「とても厳しく、とても美しい。」

 

と、

 

 

 

 

その言葉の意味がようやくわかるようになってきた。

 

 

 

ここまでのハイクは、単調で距離を伸ばすことと、街に降りることばかりを楽しみに歩く事が多かった。

 

 

だが、ここからは少し様子が違う。

 

 

 

壁のようにそり立つ岩をよじ登り、

 

山頂の景色は鮮やかで壮大。

 

そして、また、

トレッキングポールを投げ捨て体を背にして急登を降る。

 

時には、

岩の間をすり抜け、

泥の中を歩き、

雨に打たれ、

 

それでも、前に足を運ぶ。

 

 

 

1日でそれが数回繰り返される。

 

 

 

 

 

今まで25mile歩けていた事が不思議に思うほど、歩いても歩いても距離が伸びない。

 

それは、美し過ぎる景色と過酷なアップダウンがそうさせるのだと思う。

 

 

 

 

 

そして、夜になるとテントを張り、食事をする。

 

数週間前から一緒に歩くパートナーがいる事で、その時間が何倍にも有意義にさせてくれる。

 

 

 

過酷なハイキングの毎日で、両膝は笑う事を忘れ泣きはじめた。

 

 

それでも、容赦なくそびえ立つ山々。

 

厳しさと美しさは表裏一体なのかもしれない。

 

または、素晴らしいものを得るにはそれなりのリスクが生じるのかもしれない。

 

 

 

 

大自然の厳しさ、

人間の弱さ、

 

それでも、僕はこの時間を最高に幸せな時間だと思う。

 

 

 

この気持ちは言葉で表すには難し過ぎる。

 

今の僕には言葉が足りない。

 

 

 

 

この最悪で最高のセクション。

 

今、自分がこうしていられる事を感謝したい。

 

 

 

 

 

 

 

随分、遠くまで歩いてきたものだ。

 

 

 

残り約2週間。

毎朝、新しい今日が始まるということを忘れずに、一歩一歩踏みしめていきたい。

 

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