#Last 3500kmの結末

 

 

 

 

出発したのは何日前だろうか?

出発したのは何ヶ月前だろうか?

 

数字で表現するなら、

100日以上前、

3ヶ月半前、

 

 

 

でもそれを言葉で表現するには難しすぎる。

はるか遠くのような、

ついさっきのような、

 

そんなゴールまでの心境を描きたい。

 

 

 

 

 

 

最後の食料補給を終えトレイルに戻る。

 

残り170km程度。

5~6日で歩き切れる距離。

 

 

 

 

歩き出すと雨が降ってきた。

 

ATと言えば雨。

 

これが最後の雨になるかもしれないと思って、今までと少し感じ方の違う雨の日になった。

 

 

 

気温が低くなってきたのもあって、びしょ濡れで歩いた1日で体が冷えて、少し体調を崩してしまった。

 

 

歩く元気は残っているし、

来た道を戻って街まで行く気にもなれない、

 

歩いてたら治るやろ!

 

とまぁ楽観的に考えて、一歩一歩ゴールへ向かう。

 

 

 

 

 

ここからゴールまでの100mileは、100 wildernessと言われるエリアに入る。

 

簡単に言うと、大きな道路も街もない大自然が広がる。

 

高低差は比較的緩やかで初めの40mileを超えてしまえば、ほとんどフラットな森の中をひたすら歩き続ける。

 

特に景色の変化も高低差の変化もないセクションは暇で仕方なかったのに、今回は少し違った。

 

まるで、今までの時間を思い返して歩け、と言われているようだった。

 

 

そして、実は最後の街でシガーを5本買っていた。

毎晩一本でゴール山頂で最後の一本となる。

毎晩テントを張って食事をして日記を書いて、寝る前にシガーをふかす。

 

その数が減って行くのにも、ついつい感傷的になってしまう。

 

 

 

他のハイカー達はどんな気持ちで歩いているんだろう。

 

なんだか、いつもと変わらず明るく歩いているようには見えてるけど、色々考えることはあるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

そして、気がつけばシガーは残り一本になっていた。

 

と言うことは明日歩けば山頂に着いてしまう。

 

 

 

 

 

 

キャンプ場でパーミットを受け取る。

 

そこには515の数字が書かれていた。

 

この数は、2018年のNOBOハイカーの人数。

 

僕がスタートした時にもらった番号は2577。

 

 

約2000人のハイカーを越えて歩いて来たことになる。

恐らく3分の1ぐらいのハイカーは途中で歩くのを辞めているとは思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、最後の登りを始める。

 

天候はそこそこ良さそうな雰囲気だったが、標高を上げるにつれて霧がかってくる。

 

完全に雲の中に入ってしまった。

 

 

 

 

Katahdin での景色を見に来た訳ではく、そこがゴールと言うだけだが、やっぱり少し残念な気持ちもある。

 

こればかりは仕方ない。

 

 

山頂に着いて天候が回復するのを待ってみてもいい。

 

 

霧がかった急登。小さなロッククライミングを何度と繰り返し、少しずつ前へ進む。

 

 

霧はどんどん濃くなって行く。

 

 

 

10m先の景色が白に包まれる。

 

まるで、この世界で自分一人かのような孤独な世界にも思えた。

 

 

 

そして、体の左半分が冷えはじめる。

 

 

 

 

強風が吹き荒れる山頂付近。

 

聞こえるのは、

自分の足音と風の音。

 

見えるのは、

濡れた高山植物と岩と土。

 

携帯を見れば後どれぐらいでゴールに着くかわかってしまうが、何故かそれはしたくなかった。

 

 

 

霧の中いきなり現れる山頂のモニュメントを探しながら歩いた。

 

 

 

天候は荒れていたが、

 

それとは真逆で僕の心はとても穏やかで静かに感情の波が揺れていたように思う。

 

音もなく、緩やかにしなやかに。

 

ゴールを迎える準備ができたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

そして、うっすら自然界には不自然に立たずむ人工物が見えてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやら頂上まで来てしまったようだ。

 

一歩一歩、

歩み寄る、

 

 

 

 

どうやら先客がいるようだ。

 

2人のハイカーの陰が見えた。

 

そのハイカー達は、僕が登ってきたのを確認すると、モニュメントから少し離れた所に移動してくれた。

 

声にならない声で、

「次はお前の番だ!」

と言ってくれているのが、はっきりと聞こえた。

 

 

モニュメントまで手が届いてしまう。

 

 

 

 

 

 

一度立ち止まり深呼吸をして、モニュメントをまじまじと見つめる。

 

 

 

 

左手、そして右手をゆっくり動かしモニュメントに触れた。

 

 

 

 

 

 

顔を埋めて、しばらく歩ききった高揚感を体全身で感じる。

 

 

 

言葉通り、肩の荷が下りた。

 

 

そして、最後のシガーに火をつけモニュメントの前でゆっくりとその瞬間を味わった。

 

シガーの煙は霧に紛れて姿を消す。

 

 

 

ATを歩ききったというより、

ATの一部になったかのような、

 

そして、自分が自然の一部になったような、

そんな。至福のひとときだった。

 

 

 

 

 

109日3500kmを歩き切れた。

 

これで全てが終わった。

後はその余韻に浸る下山のみが残されてあるだけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

山頂で天気の回復を待ってみたけど、よくなりそうな気配もなかったので、下山し始めた。

 

 

後続のハイカー達とすれ違う。

 

彼らと拳を合わして、

 

「Congratulations!!」と祝福しあう。

 

顔なじみのハイカーから、

初めて見るハイカーまで、

 

全員が同じ線の上を共有して来た仲間。

 

 

Appalachian Trail に縛られ続けたハイカー達はどこかリラックスした表情に見えた。

 

スルーハイカーとそれ以外のハイカーを見分けるのは、服装や荷物を見ればいいのかもしれないが、

 

 

一番分かりやすいのは、表情かもしれない。

 

「そんな顔なってしまうよな。」

 

って心の中で独り言を言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間ほど下山していくと、いきなり霧が晴れた。

 

そこには自然に足が止まってしまう絶景が広がっていた。

 

荒々しい岩場とそれを支える美しく穏やかな緑で彩られた山々が顔を出す。

 

 

 

 

 

 

どうやら山頂周辺のみ雲がかかっていたようだ。

 

何度も足を止め、

何度も荷物を置き、

 

その景色を心に刻むように堪能した。

 

 

 

 

カメラを手にすると、、、シャッターが下りない。

 

 

寒さでやられたのだろう。

それは仕方ない。

 

 

 

 

 

 

心のシャッターを開けっぱなしにして、その景色を心の中にしまった。

 

 

 

 

 

 

景色が見えるまで、

 

何度立ち止まって、

 

景色を眺め、

 

深呼吸をし、

 

稜線を振り返ったことだろう。

 

「後ろ髪を引かれる」

 

とはまさにこの事なんだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、、、

無事Appalachian Trail 歩き終えれました。今までブログ読んでくれてありがとうございました!

まだ色々整理もついていないので、また帰国してから振り返るように写真と言葉を使ってまとめのブログ書かせてもらおうと思います!フォトブックも^ ^

 

 

2018年の旅がこれで人段落となりました!

ありがとうございましたーー!

どこかでお会いする日を楽しみにしています♪

 

 

 

 

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