あれは夢だったのか現実だったのか

with 2件のコメント

 

 

10月3日

 

 

 

 

はぁはぁ

 

 

はぁ

 

 

はぁはぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やばい!やばい!寝るとこがない!!!

 

 

 

小雨が降る中ヘッドライトをつけて

テントが張れそうな地面を探しながら歩いていた

 

人はピンチになると行動が1.5倍速になるらしい

 

「くそっ!ヘッドライトの電池も切れかかっている」

 

 

 

 

 

 

 

 

霞露ヶ岳を越えてからどれだけ歩いただろうか

 

「どこかで適当な場所で寝ればいいか」

 

という甘い考えが今回のピンチを招いてしまった

 

こんな時は

「あそこでテントはっとけばよかった」

という後悔が頭から離れない

 

 

 

日は暮れ午後7時を回ろうかという頃

僕は岩手県船越半島の森の中をさまよっていた

 

 

 

 

 

 

 

これ以上探してもテントが貼れる場所は見つからないだろう

 

 

 

「仕方ない。最終手段だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前にはヘッドライトがうっすら照らすトレイルが

闇の向こう側へと続いている

 

 

 

 

最終手段とは

このトレイルの上にテントを張ってしまおう

というものだ

 

 

それが唯一雨をしのぎ朝を迎える方法だった

 

 

 

 

 

「もうこんな時間だ。ここを歩く人は誰もいないだろう」

 

逆に言うと

真夜中、人里から離れたこの場所に

人が歩いているとなると

僕と同じように寝床に困ったハイカーか不審者

もしくは、幽霊、、、の3択に絞られる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとかテントの設営を済ませ

濡れ切ったバックパックをテント中に投げ込み

ビショビショのレインウェアを着たまま僕も同じようにテントに飛び込んだ

 

テントの中から聞こえる雨音は

外にいる時よりも心なしか優しく聞える

 

 

 

 

 

乾いた服に着替え

エアマットを膨らまし

ふかふかの寝袋を取り出す

 

 

こうなればこっちのもんだ

 

 

 

 

簡単な夕食を済ませ

現在位置の確認

明日の行程確認

を済ませ

 

いつも通り日記をつけた

 

「・・・今まで登ってきた山からすればたった500mの霞露ヶ岳。なんで今日はこんなに辛いんやろーか。霞露ヶ岳の山頂はガスってて鳥居が一つあるだけ。結局寝るとこなくて、トレイルの上にテント張って終わり /ウミネコ温泉→多々羅山 24km Total322km」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨音を子守唄に眠りに入っていると

 

どこからともなく物音が聞こえた

 

 

 

 

 

 

 

 

、、、、、ような気がした

 

 

 

これは夢か現実かわからない

 

 

 

 

まぁ夢の中だろう

こんな場所に人が来るはずがない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

、、、まてよ

 

動物だという可能性もある

 

この辺りに生息する動物は

シカ・ニホンカモシカ

もしくはツキノワグマ

 

という可能性もある

 

 

 

 

 

こんなことを考えているのも

夢の中なのか

寝ぼけながらの現実なのか

僕には判断できない

 

夢と現実の間に滑り落ちたのだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

するとまた物音が聞こえる

 

 

その音はテントの前で止まり

 

 

 

次の瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テントが光で照らされたのと同時に声が聞こえてきた

 

「こんなとこでなにしてんだ?」

 

「えっ あの えーと、、、 寝るとこなくて」

 

「よくこんなとこで寝れるね。クマ出るよ」

 

「あ はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな会話をしたのかしてないのか

朝目覚めた僕の記憶は曖昧なものだった

 

 

 

 

あれが夢だったとしたら変な夢でしかない

もし現実だったとするなら一体誰だったのだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食を済ませ

もう一度冷静に考えてみても

ここから人里にはかなり距離がある

車の道路に出るまでも1時間は歩かなければならない

 

もし車で来ていたとするなら

引き返して来るはずだ

 

考えれば考えるほど不可解でならない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ考えてもわからないことは仕方ない

 

パッキングを終え6時半に歩き始めた

 

 

 

1時間ほど歩くと小谷鳥漁港に出る

今日は昨日の天気とは一変し

高いところに雲がポツポツ浮かぶ気持ちいい空だ

 

濡れてしまったテントを漁港のコンクリートに広げ

横に座り込み柿の種を食べながら乾いていくテントを眺めていた

 

水分が抜けていくテントは

ひらひらと風でなびいている

 

不思議なことにこの光景を見ているだけで

心が軽くなる

 

 

 

 

 

 

 

 

カラッと乾ききったテントをパッキングし

船越半島の付け根に位置する山田を目指す

 

 

山田までは林道を通って船越漁港に向かうことになる

 

 

 

 

 

 

岩手県のセクションは

半島好きにはたまらないハイキングになるかもしれないが

正直なところ

そろそろ嫌気がさしてくる

 

 

トレイルを南下している僕からすると

まず半島の北半分を歩き

先端まで歩くとの半島の南側を歩くことになる

 

海を挟んで次の半島が対岸に見えてくるのだが

 

「対岸まで橋渡してくれへんかな〜」

 

なんて思いながら歩くわけだ

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを思いながら林道を歩いていると

 

モトクロスバイクに跨ろうとしているおじさんがいた

 

僕に背を向けキックスタートでエンジンをかけようとしている

 

なかなかエンジンがかからず必死にキックダウンしている様子から

おそらく僕の存在には気づいていないだろう

 

 

いきなり声かけても驚くだろうから

おじさんがバイクで移動するまで待っていよう

 

 

僕とおじさんの距離は3mほどだろうか

 

 

 

 

そう思い数秒待っているとエンジンがかかった

 

 

 

 

 

 

 

 

おじさんはアクセルをふかしちらっと後方を確認した

 

そこにはもちろん僕が立っている

 

 

するとバイクは

「ブーーン!!ブーーン!!!  ガタン!!」

 

とこけてしまった

 

 

 

 

 

「にいちゃんびっくりしたよ!」

 

「ですよね。すいません」

 

おじさんは怒っているというより

自分が驚いてこけてしまったことの照れ隠しをするように

苦笑いでこけたバイクを起こしている

 

「こんな林道でいぎなり人いると思わないよ」

 

「ですよね。でも声かけても驚くなって思ったんで、、、」

 

「まぁ確かにそうだな。こんなとこで何してんだ?」

 

ここで何してるのかは僕も聞きたいぐらいだ

 

「みちのく潮風トレイルってハイキングコース歩いてるんですよ」

 

「どっから歩いてぎたの?」

 

「八戸からです」

 

「ずいぶん遠くから来たんだね〜 っでどこまでいぐの?」

 

「相馬までです」

 

「ほえ〜〜そりゃ大変だ!」

 

「まぁ歩くだけですけどね」

 

「よがっだらこれいるか?」

 

おじさんはおもむろに背中にしょっているカゴをあさっている

 

「ほれ!」

 

「えっ!!!これ松茸じゃないですか!!!」

 

おじさんの手には

まだ土がついたままの松茸が大小5本

 

「松茸採りにきてて、今年はよぐ採れっから」

 

この松茸、都会で買おうと思ったら数千円ではきかないやつだぞ、、、

 

「本当にいいんですか?」

 

「いいよいいよ!まだ採れっがら!」

 

「あ、ありがとうございます!!」

 

「じゃぁ12時までしか松茸採っちゃいげないがら、次いぐね!にいちゃんも頑張って!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おじさんは松茸を僕に手渡し

バイクに跨り次の松茸ポイントを目指して

林道の奥へ消えていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後々知ったのだが

松茸を採る為には地域の松茸組合に入らなければいけないらしい

組合の決まりの一つとして

採取の時間が決められているようだ

 

確か深夜1時〜昼の12時までと聞いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを知った時、

深夜テントにライトを照らしたのは

困ったハイカーでも

不審者でも

幽霊でもなく

 

松茸狩りの人だったんだな

 

と答え合わせができたわけだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 みちのく潮風トレイル Episode4

タイトル「         」

お楽しみください!!

 

 

 

 

 

 

 

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2 Responses

  1. yogini
    | 返信

    柿の種を食べながら乾いていくテントを眺める
    心が軽くなる

    という表現が今木陰で風を感じながら読む自分を更に気持ちよくさせてくれました。

    にいちゃんびんっくりしたよ〜

    不可解なものの一択に幽霊が入っている事に笑えました笑。

    • da80207
      | 返信

      木陰で僕のブログ読んでくれてるなんて、場違いですいません笑

      幽霊はいてると勝手に思い込んでますんで!!
      何度か霊体験もありますからね笑

      またぼちぼちブログ書いていきます

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