今まで生きてきて、
人間を見なかった日って何日あるのだろう。
朝起きてから、
夜寝るまで、
人間の姿を見なかった。
人がいるのが当たり前と思っていた、
都会での生活に慣れてしまっていたからなのか、
とても不思議な一日だった。
聞こえてくる音は、
鳥の鳴き声、
エルクが逃げていく足音、
虫の飛ぶ音、
風が通り抜けていく音、
そんなものしかなかった。
とはいっても、寂しいという感情はでてこなかった。
寂しさがでてこなかった理由は、思いだと思う。
誰かが誰かを思うということ。
僕が歩きながら誰かのことを思うだけで、不思議と孤独感は感じなかった。
そして、不思議なことに町に降りると、
僕が思っていたその「誰か」から連絡が届いていた。
思いは届いていたのかもしれない。
お互いがお互いのことを考えていた時間が存在したに違いない。
恋愛とは違うかもしれないが、
これも「両思い」なんだと思う。
そして、
僕が孤独を感じなかったもう一つの理由は、
自分以外にもこの道を歩いているハイカーがいるということを確信できたからだと思う。
それは、
足跡だったり、
トレキッングポールの後だったり、
誰かが昨日テントを張ったであろう不自然な地面だったり、
既にそこにはいない誰かの存在がそこにはあった。
この道の上には、、、
この道は一日何人の人が足跡をつけたのだろう。
こんなに利用者の少ない素敵な道は世界にどれだけあるのだろう。
次は誰がいつ通るのだろう。
それでもこの道は歩く人がいる限りそこに在り続けるのだろう。
不便
自由
渇き
嘆き
綺麗
楽しい
辛い
辞めたい
癒し
愛
希望
美しい
辞めたくない
歩きたい
不安
歩けない
歩きたくない
痛み
喜び
感謝
沢山の感情が入り乱れるトレイル。
まさに生を実感できている。
生きることは沢山の感情に出会うことだと僕は解釈している。
足元に続くこの道はそんな全てを受け止めて、
自分の鏡のように映し出してくれる。
誰にも会わなかった日があったのは事実だが、
それはたまたまで、
数分立ち止まっていただけで、
誰かと出会えたかもしれない。
全ては巡り合わせで、
縁の問題だと思う。
「今」この瞬間に自分が決断した事の結果でしかない。
そんな事を考えさせてくれたのは、
人間に会わせてくれなかった「縁」があっての事だ。
全ては今の決断で、
全ては移ろい変わりゆくもので、
全ては縁で起こっていることで、
確かなのは今と言う現実が目の前に広がっているという事だ。
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