CDT EP1 誰かと歩くという事

 

 

カナダ国境から歩き始めて3日目のことだろうか、

 

2500mほどの峠を越えようと一歩一歩足を運んでいると、

 

 

雲に覆われた山頂付近で一人の男が休んでいるのをみかけた。

 

 

彼の名前はHey Bear

もちろんハイカーネームだ。

 

 

 

 

 

 

 

CDTを歩くハイカーは年間を通して数百人ほどと少ない。必然と出会いの数も減るのだが、その反面出会いの密度が色濃くなってくる。

 

そんなCDTでの始めの色をつけてくれたのは紛れもなく彼だろう。

 

 

 

僕は彼を追い越し先に山頂へたどり着いた。

後追うように到着した彼の姿はまるでシャワーを浴びた後のように慣れきっていた。

 

相当の汗かきなようだ。

 

 

 

 

歩くペースもよく似たところがあり、僕と彼は自然と行動を共にするようになっていた。

 

「今日どこまで歩く?」

「わからん」

「だよな」

 

みたいな会話を毎朝しながら夕方ぐらいに、後5mileで終わろうか。

 

 

とキャンプサイトを探しテントを張る。

 

 

 

テントを張り終えた彼は必ずやる事がある。

 

それは水浴びだ。

 

雪解け水がたまる湖がどれほど寒いか、、、

想像するだけでサブイボが立ちそうだ。

 

彼はそれを承知で飛び込んでいく。

 

「So good」ではなく「Too good」と叫びながら。

 

 

 

水浴びが終わったら、

キャンプファイヤーだ!!

 

なんとキャンプファイヤーのスターターセットまで携行している。準備は万端だ。

 

 

そして、フルートを奏でる。

タイで買ったというそのフルートの音色は、とても心地よく山と共鳴しているようだ。

 

 

 

 

 

 

そんな彼との行動も1週間が経とうとしたころ、行動を別にすることになる。

 

彼はAugustへ、

僕はLincolnへ、

 

食料補給をする街が違うのだ。

 

 

 

彼は5日間の食料を持ち、

僕は7日間の食料を持って歩いていた。

 

 

 

 

 

ここでお別れだ。

 

お互いの右拳を重ね、それぞれの旅の安全を願ってお別れをした。

 

 

 

 

 

 

目の前に広がる景色は、

一歩進むにつれて、

両目の目尻から消えていく、

その景色たちは僕にたくさんの言葉をかけてくれる、

 

時には励まし、

時には後ろ髪を引き、

時には喜ばせてくれる、

 

消えていく景色は全て過去のものになり、

さらに目の前の景色は、僕を快く受け入れてくれる。

 

 

 

 

左の目尻から流れるように彼は姿を消した、

 

 

だが、

彼の奏でるフルートと

子供のように無邪気に泳ぐ姿は

いつまでも心の何処かにしっかりの刻まれている。

 

 

 

 

またどこかで会える事を夢見て、

お互い果てしないゴールへと歩みを進めていくのだろう。

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