#3 アパッチ族

 

 

 

 

Standing Bear Farmで一晩を過ごして、7時起床。

目覚ましなしで自然と目が醒める時間が安定してきた。

 

 

ATの宿は大体が20ドルに設定されている。
アメリカの物価からすればかなり安いのだが、それには訳がある。

 

Bunkと呼ばれる宿は、寝床は屋内にあるが、シェルターのような雰囲気で、2段ベッドにエアマットが置いてあるだけ。

ここで自分の寝袋を布団がわりに寝るわけだ。

 

嫌いではない。

むしろ好きな部類に入る。

 

 

 

ゲストハウスで働いていた僕からすれば、シーツの交換、布団を干すと言う作業がないのは凄い仕組みだと思う。

 

雨の多いトレイルでは、翌朝雨の心配せずにシャワーが浴びれて冷たい飲み物が飲める事が、宿を取る理由なんだと思う。

 

 

 

 

 

 

そして、また緑の中へ戻る。

 

 

宿で休んだ翌日は足が軽い。
目指すは約40mile先のHot Spring ここで、食料補給をしないといけない。

 

後2日かな。

 

 

そして、cuteなハイカーにいやされて、

 

 

太陽の光を浴びてひたすら歩き続ける。

 

ふっと見上げると、緑のカーテンが暑さを軽減してくれていることに気づく。

 

植物は、日陰と酸素をハイカー達に与えてくれる。

 

 

 

 

歩く事、数時間。

Max Pachと言う山の頂上にやってきた。

 

今までの頂上は特に景色が広がるわけでもなく、アップダウンを繰り返していたが、、、

少し様子が違う。

 

 

背の高い木が無く、360度見通しがきく緑の広場。

 

 

フリスビーで遊ぶハイカー、
昼寝をするハイカー、
お喋りをするハイカー、

 

それぞれが好きなように時間を過ごす。

 

 

ここから見る夕日や朝日がどれだけ美しいのだろうと想像しながら、ランチを楽しんだ。

 

 

 

翌日、キャンプサイトで目を覚まし、17mile歩いて目的のHot Springへ。

 

到着はお昼過ぎ。

 

 

取り敢えずビールでしょ!天気もいいし!

 

 

 

大好きなBudweiserを流し込む。

お昼を食べていなかった体に、ビールが駆け巡る。

 

 

暑い日差しの中飲むビールは格別。
なんだか、日本の夏が恋しくなってきた。

 

最近、海にも全く行っていない。

 

まぁそんな事は、これから山ほど考えるのだろう。

 

 

 

 

 

ビールを飲み干しスーパーへ。
3度目の食料補給。

 

いつも通りの食料を調達し、
いつも通り食料をジップロックへ移し、
いつも通り行き交う人が声をかけてくる。

 

街に降りる時の一番の楽しみはスーパーでの時間かもしれない。

 

すると、ひとりの女性が僕の横に車を止めて降りてくる。

 

荷物を広げ過ぎて邪魔だったのか、、?と思っていた次の瞬間。

 

「日本人ですかー?」

 

あまりにも自然に日本語を話したので、理解に時間がかかった。

 

僕が日本から来た事を伝えると、大げさなリアクションで歓迎してくれた。

 

しかし、このリアクションは大げさでもなく、本当に嬉しかったみたいだ。

 

30年前日本に住んでいて、
日本人と恋に落ち、
静岡で暮らしていたらしい、

 

それから、アメリカに住んで以来20年以上日本人と会ってなかったそうだ。

 

とにかく、日本人が大好きな女性だった!

 

名前はリザ。

 

 

 

そして、今日はどこまで行くのか聞かれたので、

 

「今日もうちょっと休んでから、少し歩いて川沿いで寝ようと思ってるよ」

 

と伝えると、、、

 

 

 

「お願いだから今日うちに泊まって!!私もっと日本語話したいの!!おねがーーい!!」

 

 

 

 

 

ここまで言われると断る理由がどこにもない。

 

もちろん、僕の答えは「Why not!!」

 

 

 

 

彼女はいとも簡単に僕を捕まえることに成功した。

僕は軽い男なのかもしれない笑

 

買い物に向かう彼女。
「逃げちゃだめよ!」
と念押し、スーパーへ入って行った。

 

 

 

彼女の帰りを待ちタバコを一本吸って待っていると、数分後彼女が買い物を終え、

 

「もっといいタバコがらあるわよ!」

 

と車の中からアメスピを大量に渡してくれた。

 

 

 

車の中でも会話は弾み、
62歳のリザの話を沢山聞かせてもらった。

 

今は72歳の旦那さんと古い小さな家で暮らしているらしい。

 

そして、衝撃だったのが、彼の旦那さんはアパッチ族だということ。

 

純血のアパッチ。

 

僕は彼女の旦那さんへの興味で頭の中が埋め尽くされた。

 

その夜はリザの旦那さんCrazy wolfから想像を絶する、彼の人生を聞くことになった。

 

 

僕の英語力では付いていけない、スピリチュアルの専門用語がずらりと並ぶ。

自然の話、
宇宙の話、
お金の話、
死の話、
心の話、

もちろん、全てを理解できたわけではない。

話の半分も聞き取れていなかったが、彼の話す空気感を感じることができた。

 

 

そんな彼にこんな質問をしてみた。

「人生は短い?それとも長い?」

彼の答えはこうだった。

 

「体は老いていく、それだけ見れば人生は短いものだと思う。ただ精神はあなた次第だ。短いか長いかはあなたが選べばいい。」

 

 

上手く言葉にはできないが、こんなニョアンスだったはず。

 

 

 

そして、インディアンの言葉が書かれたポスターを数枚見せてもらった。

その中で一枚のポスターが僕の心を捉えた。

 

ひとりの美しい女性が悲しくも美しい姿で遠くを見ている写真。

そこに書かれていた言葉は、
Only after the last tree has been cut down,
Only after the last river has been poisoned,
Only after the last fish has been caught,
Only then will you find that money cannot be eaten.

大切な事が詰まった4行。

 

 

 

たった一晩だったが、家族のようにもてなしてくれた2人に感謝。

 

 

 

翌朝も、コーヒーを飲みながらアメスピをチェーンスモークするCrazy wolfとお喋り。

 

時に彼は、
目を瞑り風を感じて、
耳をすませて鳥の歌を聴き、
犬と見つめ合い会話をする。

 

「鳥が鳴き出した。今日はいい日になるぞ。」

 

と静かに囁いた。

 

 

 

1週間でも1ヶ月でも泊まってていいのに!

とリザが言ってくれたが、先は長い。

彼らとお別れし歩く事を選んだ。

 

 

 

その日は10時からスタートし、強い日差しの中歩き続けることになった。

 

2人のことを思いながら歩いていた1日はとても早く過ぎていたような気がする。

 

 

翌朝、エアマットに異常が!!

 

 

中で破れたのだろう。

まるで枕のように膨れ上がったエアマット。
これじゃ体が休まらない。

なんとかせねば。

 

 

 

そして、最近シェルター近くで寝ることが多かったので、朝日も、夕日も、星空も見れていない。

 

 

今日はそれが見える場所で寝たい。

 

シェルターから27mile歩いた先に、Max pachのような山頂があった。

 

ここなら、星空と朝日が見えるだろうと思い、テントを張った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、、、

 

朝は一面の霧。

何も見れずに、テントだけが濡れた一晩。

思い通りにはいかんわな!

 

 

 

今日は宿に行こう。
そう思いながら歩いた22mile。この日はほとんど太陽が顔を出さなかった。

 

一日の大半が雨。

 

雨の中、いかに楽しく歩けるかというのが課題。

 

歌ったり、
口笛吹いたり、
出会った人の事を思ったり、
色々妄想したり、

 

とにかく、頭の中が暇なのだ。
体は常に動いて痛みも感じるが、
頭の中は辛いぐらいに何もない。

 

 

まだ始まって数週間。
残り数ヶ月、どうやって暇つぶしをするか悩むところだ。

 

街へ向かう1mile手前でようやく雨が上がり、カメラを出す事ができた。

 

 

 

Uncle Johny Hostelでは、沢山のスルーハイカーが体を休めていた。
夜な夜なみんなで酒を飲み、たわいもない話をし眠りについた。

 

 

 

 

 

 

現在343mile。
343/2200
実は既に7分の1が終わってしまっている。

 

 

雨は降り続けるだろうが、毎日が最初で最後のように歩いていきたい。

 

 

 

 

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